Kindle本を出版しました!

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Kindle本とは、アマゾンのKindleストアで販売される電子書籍のこと。Amazon製の電子書籍リーダーのほかに、スマートフォンやタブレットでも読むことができるクロスプラットフォームの電子書籍です。また、Kindleストアでは出版社でなくとも個人で出版することもできます。

Kindle本が読める端末
メーカー/OS デバイス アプリ
Amazon Fire(タブレット), Paperwhite等
Apple/iOS iPhone, iPad Kindle読書アプリ
Google/Android Android端末 Kindle読書アプリ
PC/Windows PC Kindle for PC
Apple/Mac OS X Mac Kindle for Mac

Kindle本の制作と出版

ふと電子書籍を作ってみたくなり、とりあえず一冊出版できたので記録を兼ねてレポートします。

[追記] 手続き等については、当時と状況が異なっている可能性があります。

アカウント作成と米国への免税申請

Kindleダイレクト・パブリッシング(以後、KDP)のサイトへ行き、出版者用のアカウントを作って、サイトに書いてあることを 熟読、熟読、熟読……。

KDPアカウント開設は簡単にできた。
KDPサイト

KDPは米国アマゾンと契約を結ぶので、本が売れた収益から米国に所得税を納める必要がある。しかも、住所地である日本にも所得税を納める必要があるとのこと。しかしこれでは、二重課税になってしまうので、米国に免税申請をすればそちらの税金は掛からないという。手続きなしでも出版はできる(ただし両国に税金を払う)みたいだが、翌日、書類をFAXで送信した。

送信9日後の午前6時、自宅FAXに、免税申請に必要な EIN番号が書かれた書類が返送されてきた(1ヶ月後、、郵送でも書類到着)。そして、KDPのアカウントから「税に関する情報」を更新して、免税手続きが完了。

現在は、日本国内の売り上げについては米国への納税はなくなっているため米国への免税申請は必要ありません。ただし、米国内の売り上げ分は免税手続きをしないと30%の源泉税が徴収されます。

撮影

当初は、2013年から通いだした青木ヶ原樹海の写真で作品集(写真集)を作ろうと考えていた。2013年はパノラマ写真しか撮っていなかったので、すべて2014年の撮り下ろしになる。

本の制作は撮った後で考えようと、とにかく写真を撮り始めた。去年は何度か訪れているが、まだまだ新鮮で何を見ても撮っても楽しい。樹海は世間で思われているほど危ないところではない。テレビや雑誌がおもしろおかしく適当な報道や記事を書いていたから、危険なイメージが出来上がったのではないかな? 道を歩いて行く限りはまったく安全で真夏でも涼しく気持ちいいハイキングだ。

しばらく撮ってみて、写真集もいいけど、それ以外に「樹海を歩いた話」が書けるかもと考えて、何日かはコースを設定して歩いた。写真集と「樹海を歩いた話」で、電子書籍の2つの形式、リフロー型と固定レイアウト型の書籍を作ろうと考えたのだ(作り方はともかく2種類の形式があることは分かった)。

7月〜8月に撮影して、本の制作は9月、それで10月に出せればいいかなと想定していたが、何やらいろいろ予定が押して、本の制作に掛かりだしたのは10月に入ってからだった。この頃から、年内出版に目標が変わり、樹海を歩いた話に『樹海ハイキング』とタイトルを付けた。

このタイトルはちょと分かりにくいかな、とも思っている。「ハイキング紀行」みたいにしたほうが良かったかもしれない。将来、タイトルを変えるかもしれません。

本の見え方問題

電子書籍の写真集が紙の写真集と比べて最も違うことは「写真の大きさ」だと思う。写真を見るときにある程度の大きさがないと伝わらないものがある。

という思いで、写真集はタブレットで見るのを前提にした固定レイアウト型の電子書籍、もうひとつの『樹海ハイキング』は写真が多く掲載されているリフロー型にして、大きな写真が文章と並んで見られるようにしようと考えた。そこで、最終的な写真の具合とレイアウトを見るために、確認用のタブレットが必要になってきた。

タブレット購入

初めは、所有人口が多くてディスプレイの性能の高さから写真を見るのに向いている、iPad Air 2を購入するつもりだった。iPadでもKindle本は読めるので特に問題はないだろうと考えていたのだ。

2014年秋に発売されたタブレット(発売順)
発表, 発売日 解像度
iPad Air 2 10/17, 10/22 2,048 × 1,536
Fire HDX 8.9 9/18, 11/4 2,560 x 1,600
Nexus 9 10/17, 11/29 2,048 × 1,536

しかし、Kindleパブリッシング・ガイドラインに合わせて正しく作るなら、Kindle端末で確認しながら作るのがいいだろうと、AmazonのKindle端末で最も画面が広いFire HDX 8.9タブレットを購入。

巷の変な作り方の本

このタブレットで、いろいろな電子書籍の写真集を見ていたら、絶対に正しい方向で見ることができないページレイアウト、変則的なページ送り方向、写真が分割されて表示されるページ、写真の端に隙間(白線)が入っている本、など不思議な間違った作りの本が何冊も見つかった。

絶対に正しい方向で見ることができないリフロー型書籍
strange-layout-01

画面ロックをすれば正しく見えなくもないけれど、本を読むために何かしらの操作が必要になるのは読者に対しての配慮が足りないと感じる。それに画面の向きを制限するとリフロー型(可変レイアウト)である意味が少なくなるのではないか。

変則的なページ送りになる固定レイアウト型書籍
strange-layout-01

電子書籍といえども伝統的なページ送りの方向は維持すべきだと思う。ページは左右に送るという習慣があるし、電子書籍はパッとみてページ送りの方向が分からないからなおさらだ。それに、端末をぐるぐる回転させないと読めない本なんて!

これらの本の制作者は、読む人の立場で考えていないゆえに、実機確認さえもしていないのだなと想像できた。そこで持っている人が多いと思われる iPadでも確認しておくのが無難だろうと、iPad Air 2も買うことにした。

結果的に、この判断はすごく良かった。実際にFireとiOSアプリでは、見える画質が全然違う! Fireではとても美しく見える写真でも、iPadだと非常に低品質にしか見ることが出来なかった(ハードウエアでなくソフトウエアの性能による)。

本の制作

文章を書かねばならない『樹海ハイキング』のほうが難易度が高いので、こちらから取り組むことにした。これさえ終われば写真集のほうは楽々だろう(とその時は考えていた……)。

KDPのガイドラインを読むとHTMLでも作れると書いてあったので、そんなに難しくはないのではないか?と思っていたが……。はて? 実際には何から手を付ければ良いかまったく分からない。ガイドラインに書いてある事はなんとなく分かるものの、実際の作り方までは書いていなかったので、教本を何冊か購入して熟読。

ページレイアウト

前にも書いた通り、『樹海ハイキング』は写真が多く掲載されているリフロー型にしようと思っていた。文章:写真が50:50くらいになるように。文章力のなさを写真力で補えないだろうかと期待していたのもあるが……。最近の高精細ディスプレイなら、写真がどーんと大きい方が良いだろうと思ったわけです。

リフロー型は画面を横にしても縦にしても、タブレットでもスマートフォンでも、レイアウトが画面によって変わるのでレイアウトは単純なものにした。

初版(v1.000)のレイアウト

タブレットの高精細ディスプレイを生かせるように、写真を大きく使った。
v1000-layout

Kindle本の画像をダブルタップすると大きく表示することができるが、それをいちいちやるのは面倒。それに、それができることを知らない人もいるかもしれない。では元から大きい写真なら良いのでは?というシンプル発想だったのだが、これは駄目だった。

制作中から iOS確認用のazkファイルで見ると画像が非常に劣化して見えるという問題があり、それが Kindleプレビュアだけの表示か、販売後のデータもそう見えるのかわからなかったので、とりあえず出版して販売されている本を購入して各デバイスで見比べてみた。

Fireは大丈夫だったが、iPadでは画像が劣化して見えた(Kindleプレビュアによる見え方と同じ)。ただ、iPhoneでは画面が小さいためと思うが、劣化しているようには見えなかった。

これではタブレットの高精細ディスプレイを生かした本とはいえず、単に劣化した写真画像を大きく見せる本になっているので、即日発売中止にして対策を考えることにした。

次版(v1.001)のレイアウト

Fire以外の見え方に配慮して、写真を小さく表示するようにした。
v1001-layout

当初は、ソースコードの書き方がどこか間違っていてそういうことになってしまうのか?と考えて、KDPサポートに問い合わせてみたが解決せず。現状できることといえば、劣化が気にならないところまでサイズを小さくすることだけだった。しかしながら、ダブルタップすれば劣化が分かる大きさに拡大されてしまうので、根本解決にはなっていない。

もうひとつ問題があり、それは各デバイスで画面の明るさが違うことだ。iPadはFireに比べて写真が暗く見える(共に明るさ自動調整の状態で判断)。見た目が大きな写真ではディテールで雰囲気を補ってくれていたのだが、写真が小さいと細部が見えず、Fire以外では暗い印象になってしまう。

これも仕方がないので、Fireではやや明るめになるが iPadを基準に再調整した。

ロイヤリティと売上

本の価格をどう決めるか?

中身の見えないもの(Kindle本のサンプルは冒頭10%までしか読めない)に対して人はいくらまでなら払うか? という切り口で考えると1円でも高いのではないか? と思った。

中身が見えない = 価値が判断できない ≒ 価値がない = 0円

では、この本を読んでいくらなら損したと思われないか? と考えてみた。素人が書いたものなので、せいぜい300円くらいかな。かなり自画自賛(含むモチベーション)な価格ですが……。というわけで300円にした。

ロイヤリティ

KDPのロイヤリティ(著者の取り分)は、35%と70%の2種類があり、それぞれに適応条件が違う。70%にするには、KDPセレクトに登録する、KDPの独占販売を認める、配信手数料が収益から引かれるなどの条件が課せられるが、日本の KDPはデータサイズが10MB以上のものについては配信手数料が0円、他のストアで売る予定もないので70%ロイヤリティにした。

ただし、日本以外では配信手数料が引かれるので、同じ価格ならば何冊売れても収益は0になってしまう。それで海外価格は少し高めに設定しておいた。海外で売れるとは思わないけれど。

一冊の収益は、300円 × 70% = 210円

仮に1,000冊売れても、21万円にしかならない。写真撮影は機材費、交通費が大変掛かるという事情があり制作費を考えると、収益を出すのはかなり難しいことが分かる。

追記

宣伝、販売方面はまったく手つかずで、出版したっきりになってしまいました。個人の宣伝力がないとKindle本は売れませんね(痛感)。ぽちぽち売れていましたが、テーマがマニアック過ぎ!て大ヒットにはなりませんでした。本当は著者の実力不足によるところが大きい……。

思いつきで始めた電子書籍作りですが、「Kindle本を作って出版してみる」という目的は果たせました。本を出した後も樹海歩きに出掛けていて、追加情報を入れた改訂版を出そうかと考えたのですが、新刊で仕切り直すほうが良いのかなと思ったりもしつつ、現在はすでに出版した本の販売を停止しています。