本栖風穴に行ってきたー!

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富士山の北西部に広がる青木ヶ原樹海には天然記念物に指定されている風穴が幾つかあるらしいのだが、案内板はおろか道標もほとんどなく、初めて本栖風穴もとすふうけつを訪れたときにはおもいきり迷ってしまった。

富士河口湖 総合観光情報サイトの指定文化財のページには、「本栖第一風穴」「本栖第二風穴」以外に4風穴ある。とあるのだが、詳しい場所や行き方についての情報は書かれていない……。

本栖風穴は国指定の天然記念物。昭和4年12月17日指定。

風穴の近くまで行けば天然記念物を示す標柱や小さな看板はある。
本栖1看板

最初に本栖風穴に行ったときは、地図に従って進むと途中で道が消えてしまい、仕方なくそのまま樹海の中を進んだ。気づいたときには道がなくなっていてハンディGPSで方向を確かめつつ樹海の中を突っ切って本栖風穴に到着。

あとでネット閲覧できる国土地理院地図で本栖風穴付近をみたら迷ったルートとは違う道が描かれていたので、地図が古くて途中まで歩いた道は廃道だったようだ。

本栖風穴はどこにある?

場所を探すのに参考になりそうと思ったのが、航空レーザー測量によるレーザープロファイラ立体画像[※1]で、この精密な画像が手に入らないか?と考えた。そこで、国立国会図書館で資料を読み、『富士火山(山梨県環境科学研究所, 2007.3.)』の「航空レーザ計測にもとづく青木ヶ原溶岩の微地形解析(千葉達朗 ほか著.)」という論文に詳細画像を見つけた。[※2]

複写サービスを利用して必要なページのコピーをとり、それをスキャニングしてデジタルデータにしてから、画像を地図と合わせて風穴と思われる地点の座標決め、それらのポイントをハンディGPSに転送して本栖風穴を探しに行った。

ところで、国土地理院地図と実際の風穴の位置は少しずれているようなのだけど、現地で測ったGPS値も地図と違ったので地図の方が間違っているんだろうと思う。

[※1] 航空レーザー測量によるレーザープロファイラ立体画像については、国土交通省 中部地方整備局 富士砂防事務所ホームページで公開されている広報誌「ふじあざみ 第38号」に詳しく書かれている。

[※2] 後日、『活火山 活断層 赤色立体地図でみる 日本の凸凹』という書籍にも詳細なレーザープロファイラ立体画像があることを知った。

再び風穴へ

県道71号線の精進口登山道の車止めゲート(地理院地図で示す/Google mapsで示す)からスタート。ゲートの前を右へ進み、初回で曲がった分岐を通り過ぎまっすぐ進む。しばらくすると左に曲がる分岐があり、直進する道はあまり人が通らないような雰囲気だった。左に曲がって進むと、なんのことはない普通に本栖風穴に着いてしまった。所要時間は30分くらい。

風穴と思われる各ポイントに近い枝道も進んでみて、前回訪れた本栖風穴(第1)以外に、本栖風穴・第2、本栖風穴・第3、本栖氷穴も発見! 第1は懸垂下降必須、第2は崩落の危険、第3はどこが風穴なの?といった感じ。本栖氷穴は入ったら出てこられない雰囲気が漂う……。

本栖風穴群は内部を気楽に見学できるような風穴ではなく、噴気孔を眺めて写真を撮ることしかできない。それにしても、この辺り一帯に溶岩が流れてきてこんな風穴ができたんだなと想像するとこの造形に自然の驚異を感じる。

初めて行ったときの本栖風穴の大噴気孔のスケールにはびっくりだったが、その近くにある第2噴気孔はぽっかり開いた底の見えない穴が神秘的。でも、文献によると深さは20メートルあるそうなので近づきすぎると危ない!

本栖風穴の標柱と解説看板(解説文が読める画像
天然記念物標柱と解説看板

行き方案内

緑が初回で、ピンクが2回目のルート。初回に窪地のところでグルグルしているのはここが風穴かと思ったから。地図画像は国土地理院の電子国土web地図にGPS軌跡を重ねて作図しています。
軌跡とポイント

本栖2分岐(本栖風穴1と本栖2への分かれ道)には「本栖1」「本栖2」と書かれた小さい看板があったのでそれが目印になります。ただし、置いててあるだけなのでなくなってしまうこともあるかもしれません。

本栖風穴と第2風穴の分岐。この辺りの道幅は広い。
本栖1と2の分かれ道

第3と本栖氷穴は、第2風穴との分岐を過ぎて左の枝道の先にありますが、目印になるものは何もなくGPSとポイントを書き入れた地図なしで行くことは難しいと思います。進めそうな枝道はたくさんあるので、すべての枝道を行ってみるというのは道迷いの危険がありお薦めできません。

第3風穴は本栖氷穴に着く少し手前の分岐を右に進みますが、道が不確かで迷いやすいので無理は禁物。少しでもあやしいと感じたら道が分からなくなるまえに引き返しましょう。

本栖風穴と第3・本栖氷穴の分岐。写真の通りとても分かりにくい。
本栖1と3の分かれ道

本栖風穴の第二噴気孔は天然記念物の石碑のある本栖風穴に着く少し手前の右側の小高い丘状になったところにあります。

樹海歩きの注意

富士山原始林、青木ヶ原樹海は遊歩道や登山道を歩くのは安全ですが、小道に入り込むと道迷いの危険があります。はじめは進めそうな道でもそのうち道筋があやしくなり、おかしいと気づいたときにはどの方向から来たかも分からなくなります。

最低でも地図とコンパスを持って目的地をはっきりさせて出かけましょう。携帯電話はほとんどの場所で使用できず、もし使えたとしても目印が何もないので現在地を知らせることができません。万が一、迷ったらコンパスで方角をきめて一直線に進めば抜け出せる可能性があります。

風穴の写真

Google マップに投稿掲載している360°全周パノラマへのリンクが数点あります。ドラッグ/スワイプで360°全方向を見られ、画像の拡大縮小(ピンチイン/ピンチアウト)もできます。

本栖風穴・第1/第一噴気孔
motosu lava cave #1
本栖風穴・第1/第二噴気孔(本栖風穴 360°全周パノラマ
motosu lava cave #1-2
本栖風穴・第2
motosu lava cave #2
本栖風穴・第3
motosu-lava-cave #3
本栖氷穴(本栖氷穴 360°全周パノラマ
motosu ice lava cave

富士風穴

県道71号線の精進口登山道の車止めゲートから歩いて10分くらいのところにも天然記念物の富士風穴ふじふうけつがある。はじめはこちらに来て、近くに本栖風穴というのもある(地図に書いてある)ので行ってみよう!ということで行ったら迷いに迷った、というのが本栖風穴探しのはじまりだった。

富士風穴(富士風穴 360°全周パノラマ
fuji lava cave