DMCA申請で権利侵害と認められなかった複数事例

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私のサイトから写真や文章を無断転載している盗用サイトをGoogleの検索結果から削除するために、DMCA申請(著作権侵害の申し立てによるGoogle検索からの削除)を行っています。しかし中には、権利侵害が認められず対応なしとされたものが何件もあります。

DMCA(米国・デジタルミレニアム著作権法)において権利侵害となる基準が明確でないので、各々の件についてDMCA申請を行うべきか判断に迷うこともあるのですが、今のところ発見した無断転載はすべて申請しています。

ただ、申請した全件が「Google 透明性レポート」で一般公開されるので、あまりにも対応なしが多いと我ながらどうかと思いますね……。

対応なしが意外と多い、私に関するGoogle 透明性レポート。

transparency report

どういった場合には権利侵害として認められないという参考になると思うので、特に対応はとらないと決定された事例について報告します。これからDMCA申請をしてみようという方の参考になれば幸いです。

念のために書いておくと、あくまでDMCA(米国の著作権法)での判断なので、権利侵害として認められなかったといって、その行為が日本国内においても著作権侵害ではないということではありません。

日本の著作権法ではNGな転載(引用要件を満たしていないなど)であっても権利侵害が認められないことがある。

しかしながら、日本の著作権法で解決するには訴訟を起こさないといけないので面倒。でも、これは逆に言うとDMCA申請は簡単だということで、その手続きだけで盗用サイトは検索されなくなるのでネット上の盗用に関してはそれで充分です。

DMCA申請しなくても、盗用サイトが転載を削除すれば済むが、無断転載をする人々は物事を都合いいように解釈する泥棒思考であるかもしれず、直接関わるのは危険(メールのやりとりだけでも相当精神削られる)。

その点、Googleはサクッとネットで検索できなくしてくれるので頼りになる。ただし、URL削除対応されればに限る。

引用として認められた?

見出しに「?」が付いているのは、Googleから「著作権侵害ではない」理由が示されないので、私の推測です。DMCA申請でURL削除がされない場合は、Google では次の URL に対して、現時点では特に対応はとらないと決定するに至りました。というメールが届くのみです。

最初に行ったDMCA申請で唯一特に対応はとらないとされたサイトは、長文の説明がある記事に写真が転載されているもので、その説明の具体的な事例として写真が使われていたので引用として意味が認められたのではないかと思う。

よく調べて書いてるなーと関心したが、全文がウィキペディアからの転載だった。

zerogahou-nifty

http://zerogahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-c94e.html

(原作:https://tmsn.taken.jp/holga/)※原作URLはサイト移転のため記事初出時より書き換えています(以下同じ)。

ウィキペディアはCCライセンスで公開されているので、ルールを守っている限り著作権侵害にはならない。しかし、写真は私の著作物であり転載の許可していないし、引用としても引用要件が守られていないので無断転載であり著作権侵害になる(日本においては)。

本文が転載とはいえしっかりした内容であるし、著作権法で定める引用要件のほとんどは守られている。あとは写真の脇に引用元さえ明記すれば引用要件は満たされると思えるが。

著作権者でないと著作権侵害を申し立てできないのは大原則。ではあるが、アフィリエイト契約で表示している画像が転載された場合はどうなるのか?と疑問に思った。

お客様が対象コンテンツの正当な著作権者であることを確認することができません。という連絡に対して、アフィリエイト契約で画像に関しては限定的に使用が認められているので、転載された時点でその契約は無効になるため無断転載で権利侵害になるのでは?という見解を送ってみたが、特に対応はとらないということだった。

他者の画像が自サイトの一部として紹介されているのが気になる。

naver-2147893692281901801

https://matome.naver.jp/odai/2147893692281901801/2147894160586480503

(原作:http://taken.jp/published-kindle-first-book.html

おそらく「許諾あり転載」を無断転載された場合も同じ対応になると思われるのでモヤモヤ。しかし、著作権者であるなら、無断転載が繰り返されて複数のサイトで使われていてもすべての無断使用者の著作権侵害を訴えれば認められるということでもある。

他サイトへのリンクを張ることはインターネット(ウェブ)の根幹の仕組みである。ウェブページへのリンク歓迎! しかし、リンクのついでに、リンク先に飛べば分かる内容を要約もせずにそのまま転載するのはどうなのか?

リンクの説明文としてリンク先の概要や感想を書くのは読者に親切で分かりやすい案内だと感じるが、機械的に冒頭の文章をコピペするのは何の意味があるのか。

よく行われているリンクの手法ではある。

naver-2147893692281901801

https://matome.naver.jp/odai/2147893692281901801/2147894160586480503

(原作:http://taken.jp/published-kindle-first-book.html

リンク先を転載部分の後ろに書けば、一般的な引用的な表記法になるが、それが引用として認められない状況であるなら、本文の転載は権利侵害である。

「リンク→本文転載」の順番にしたならば著作権侵害でないとすると、引用と認められない無断転載でも出典元(リンク)を初めに書けば権利侵害でないということになりはしないか?という疑問が生まれるが、現時点では特に対応はとらないと決定権利侵害にあたる URL ではありませんということなので、疑問はそのままになっている。

転載が長文ならどう判断されるか?

リンク先の紹介として本文のほとんどを丸パクリ転載している場合はどうだろうか?

このサイトは悪意はなくて無断転載ということに無自覚なだけだろうと思えたので放置のつもりでいたが、Googleの判断を知るためにDMCA申請してみた。

紹介はうれしいけれども本文まるごと転載は気分悪い。

syourin00

https://blogs.yahoo.co.jp/syourin00/7636397.html

(原作:https://tmsn.taken.jp/thomason/

「透明性レポート」では初め「削除された URL」とされていたが、後から「対応なし」に変更された。「著作権侵害による削除」では初めから「拒否(URLの削除を行わない)」だった。

どうやら、リンクを張っていれば DMCA侵害にならないようだ。ただし、画像だと出典リンクがあっても権利侵害と認められる(Google検索結果からのURL削除は行われる)ので、リンク先の紹介となるような転載に限り許容されているのかもしれない。

あるいは、Yahoo運営サイトに対してはGoogleのインデックスの削除を極力行わないとする方針であるとも考えられる。

Yahoo.co.jp に用意されている権利侵害に基づく削除の手続き(リンクは米国Yahoo)をお試しになったことをご確認ください。Google

当方としては、Google の検索結果 から削除していただければ十分です。コンテンツそのものの削除ができない状態でしか、Google の検索結果 から削除が行えないということであれば対応を検討いたします

その後の返信なく「透明性レポート」では対応なし(インデックス削除しない)になる。Googleに対し検索結果からの削除を求めるも Yahoo!での手続きを求められてしまい変な気分。仮にYahoo!への手続きを経ずに「Yahoo!に対応を求めましたがダメでした」とGoogleに報告したらどうなるの?

動的生成なブログでページのURLが変わる

ブログは1つの記事が投稿されると、記事ページだけでなくカテゴリページやトップページにもその記事が載ったページが生成される。そして、その複数記事で構成されるページは、あらかじめ決められた記事数毎に区切られてページが分割されてしまうので、申請時URLと審査担当者が確認した時点でのURLが違うものになってしまった。

その結果、当該コンテンツが見つかりませんでしたとなり、URL削除は行われなかった。

画像を見ることができない

Google検索で見つけられるものは画像検索の結果であっても、権利侵害であるならGoogleのインデックスから削除されると考えて、無断転載されている画像のURLでも申請を行った。しかし、発見時には表示できていたものが表示されなくなっていてご指摘のコンテンツは見つかりませんでしたという返信がきた。

画像が表示されないときは「Referral Denied」となる。これはサイト外からの表示をできなくする直リン禁止措置。

[Referral Denied]

https://stat.ameba.jp/user_images/20161105/13/jason-sa114/40/1a/j/o0470031313790390162.jpg

(原作:http://taken.jp/hawaii-bigisland-2012-sunset.html#sunset

たまに表示できる時もあるので不思議だ。

他の申請で画像URLが検索結果から除去されたものもあるので、画像URLが駄目ということでもないらしい。申請したURLで盗用コンテンツが見つけられない/見ることができないというのが「対応できない」理由。

形としては「引用」でも、日本の著作権法が定める引用要件が守られていない「日本では著作権侵害となる引用」は、DMCAではどう判断されるのか気になっていた。

申請後すぐに、転載元のページに申請の確認IDを記載していたが、対象コンテンツの正当な著作権者であることを確認することができませんという連絡が届いたので、確認IDをウェブページに記載している旨と著作権侵害状況を画像にして返信した。

著作権侵害状況を分かりやすく画像にしてメールに添付した。

4-7261000016620

https://matome.naver.jp/odai/2139106828270130401

(原作:https://tmsn.taken.jp/thomason/

あと、画像上に「DMCAの判断に従うが、日本の著作権法としては、転載で構成されているコンテンツで主従関係がなく引用要件を満たさない、語尾の変更は同一性保持権侵害である」と書いておいた。まあ、日本の法律なんてどうでもいいのだろうけど。

8日後に返信あり。対応はとらないという回答だろうかと思っていたが、またしても対象コンテンツの正当な著作権者であることを確認することができませんという返信が来た。

これまではウェブページ上に確認IDを記載しておくことで、著作権者の確認は大丈夫だったのだけど、何か重大な疑念を持たれてしまったのだろうか?

「当方のサイトのトップページに今回の申請の確認IDを記載していることで対象コンテンツの正当な著作権者の証明とはなりませんか?」

「米国の著作権法において、この件がまったく著作権侵害とはならないということであれば了承いたします。」

6日後の返信。
対象の著作物について、著作権を所有するにいたった経緯をお伝えください。Google

「自分自身で書きました。」

さらに6日後に返信あり。
お客様が対象コンテンツの正当な著作権者であることを確認することができませんGoogle

「無断転載しているウェブページには出典元として当サイトが示されております。そして、当サイトのトップページの最上部に今回の申請の確認IDを記載していることで、対象コンテンツの正当な著作権者の証明とはなりませんか?」

「なお、対象の著作物について、著作権を所有するにいたった経緯は、私自身がウェブページの文章を書きましたので、この文章の著作権を持っております。」

話しが嚙み合っていないような気がするのは、話している相手が、人間ではなくて Googleが開発中のAI(人工知能)だからでは? 知らんけど。

そして7日後に返信あり。
以下の URL の確認を試みましたが、問題のコンテンツを特定することができませんでした。Google

転載元が記事を削除したのかな?と確認したら普通に見られるんだけど?

Googleが DMCAにおいてこの件を著作権違反であるともそうでないとも明言しないのは、AIがバグっているのか、何らかの大人の事情なのか分からないが、再度問い合わせても同じ返答がループするだけだと思うので、ここで一旦終わりにする。

現在、「透明性レポート」で対応なし、「著作権侵害による削除」では 当該コンテンツが見つかりませんでした。になっている。